SS小説(4000字以内)

墓場を待つ人

死にたい。その言葉を形作った唇から、声がこぼれることはなかった。息が漏れる音。舌を弾く音。風が運ぶ鈴の音。目が痛い。口が渇く。汗ばんだ体にひっつくTシャツが煩わしい。どうやら私は、目が覚めたようだ。一度ぎゅっと目を瞑り、開ける。緩慢な動作で…

ともだち

人の死とは、あまりにも呆気ない。昨日まであの子がイスに座って教科書やノートを広げていた机の上には、白い花を生けた花瓶が置かれていた。教室内は、誰かが鼻を啜る音や嗚咽で溢れている。わたしはただその光景を見せられ、第三者の音で耳を侵され、それで…