こんにちは。
【小説×歌】を中心に活動している創作プロジェクト「SSQuest」の首領・雪花です。
皆さんは、クロユリ(黒百合)の花言葉をご存じですか?
その花の色から、怖い意味の花言葉を連想するかもしれませんね。
実は、クロユリの花言葉には、相反する2つの意味があります。そして、その花言葉は、それぞれ日本の地で生まれました。
今回は、クロユリの花言葉とその由来となった伝説をご紹介します!
クロユリ(黒百合)とは?

▼クロユリとユリは違う種類
クロユリは、ユリと同じ種類と思われがちですが、実は異なる種類の花です。
ユリは、ユリ科ユリ属。対して、
クロユリは、ユリ科バイモ属。
単なる色違い、というわけではないんですね!
▼クロユリはかなり臭い!
クロユリは、とっても臭い匂いがします。英語では酷い別名が付けられているほど。
「汚いおむつ」
「スカンクユリ」
「外便所ユリ」
これは想像するだけでも、かなり臭そう……。
クロユリの花言葉には、相反する2つの意味がある!

クロユリの花言葉には2つの意味があります。
①「恋」「愛」
②「呪い」「復讐」
それぞれ日本で生まれた伝説が由来となっています。①「恋」「愛」は北海道、②「呪い」「復讐」は富山の伝説です。
日本で生まれた花言葉「恋」と「呪い」の伝説を紹介!

①北海道で生まれた「恋」の伝説
「恋」の花言葉は、アイヌ民族に伝わる話から生まれました。アイヌ民族にとって身近な存在であるクロユリ。そのクロユリについて、次の話が信じられていたのです。
「クロユリの花を、好きな人の側に置きます。置いたことを気づかれないまま、好きな人がそのクロユリを取れば、ふたりは結ばれるでしょう」
とてもロマンチックな言い伝えですよね!この話から、クロユリの花言葉に「恋」という意味がつきました。
きっと、密かに想っていた人に、クロユリをそっと願いを込めて贈っていたのでしょう。
②富山に残された「呪い」の伝説(黒百合伝説)
「呪い」という花言葉は、富山城の主・佐々成政(さっさ なりまさ)の話に由来しています。
成政に降りかかる悲運の数々……最後には命を落としてしまう彼は、「悲運の武将」として知られています。また、その悲劇にクロユリが絡んでいることから、「黒百合伝説」と呼ばれています。
▼佐々成政の打ち砕かれた野望
成政が越中(現在の富山県)を治めていたのは、豊臣秀吉が天下統一を果たした戦国時代です。成政は、名を馳せるために豊臣秀吉を討ち取ろうと目論んでいました。
この秀吉討伐は、後の天下人・徳川家康と協力のもと行われる筈でした。しかし、成政が険しい佐良峠を越え家康を尋ねると、なんと家康が心変わりしたというのです。ここで、成政の野望は打ち砕かれてしまいました。
そんな成政の状況も知らぬまま、富山城では成政の最愛の姫・小百合が彼の帰りを待っていました。ここでもまた、悲劇が襲います。
小百合は、成政のあまりの溺愛ぶりに、他の側室から妬まれていました。嫉妬の炎に駆られた彼女たちは、やっとの思いで城に到着した成政に、小百合の不貞を伝えたのです。
もちろん、それは側室たちの嘘でした。しかし、野望が打ち砕かれたばかりの成政は、その嘘を信じてしまいます。そして、激昂に任せ、小百合にも真実を確かめないまま、彼女を斬り殺しました。
小百合は死に際に、
「もしも立山にクロユリの花が咲いたら、佐々家は滅亡するでしょう」
と言い残しました。
小百合の怨念は、一本榎に宿り、あるときは鬼に、またあるときは火の玉となり現われるようになります。
暫くして、とうとう立山に一輪のクロユリが咲きました。
するとそれから、成政の身に、次々と不運が訪れることに……!
そして……
▼決定的な成政の不幸:淀君の策略に巻き込まれ切腹!
あるとき、成政は豊臣秀吉の正室・北政所(高台院)へクロユリを献上しました。その際、成政は北政所に
「この花が白山のクロユリであることを知る者は、誰一人としていないでしょう」
と言いました。北政所は成政の言葉を信じ、秀吉の側室・淀君をはじめとした大阪城の女性を、クロユリで飾った茶会に招きます。
しかし、茶会に招かれた淀君は、「そのクロユリは白山のものですね」とピタリと言い当てました。そして数日後、淀君は北政所を茶会に招きます。
すると、その茶室には、粗末な竹筒に無造作に活け捨てられたクロユリがありました。それを見た北政所は侮辱されたと怒り心頭。
これは、すべて淀君の策略でした。しかし、北政所は「成政が自分を騙し辱めたのだ」と思い込み、成政へと怒りを向けます。
その結果、成政は秀吉から領内の一揆の責任をとらされ、切腹することになったのです。佐々家は小百合の予言通り滅亡。これらの悲劇から、成政は「悲運の武将」として知られることになりました。
まとめ

いかがでしたか?
クロユリには、「恋」と「呪い」の相反するふたつの花言葉があります。
そして、それぞれの由来は……
「恋」→アイヌ民族に伝わる恋の伝説
「呪い」→富山城の主・佐々成政の悲運の物語『黒百合伝説』
でした。う~ん、創作意欲が刺激される……!
それでは、今回はここまで。最後までお読み下さりありがとうございました!